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〜 「よく噛む」効果 〜

  1. むし歯と歯周病を予防する

  2. よく噛むと唾液がたくさん出ます。この唾液がむし歯菌によって砂糖から作られた酸を薄め、歯の表面が酸で溶ける(脱灰)のを防ぎ、溶けかかった歯の表面が、もとの状態に戻る(再石灰化)のを助けるのです。
    つまり、飲食物によって、歯の表面が溶けかかったかと思えば、唾液がその溶けかかったところを元に戻す・・・・このようなダイナミックなドラマが絶えず起こっているのが口の中なわけですから、よく噛むことが唾液の分泌を促し、むし歯予防につながるということが言えるわけです。
    また、よく噛むと歯のまわりの食べ物の流れが良くなり、歯の汚れが落ち、歯茎もマッサージされます。そうすると、歯茎は強くなり、歯の周りの骨(歯槽骨)もしっかりして歯周病にかかりにくくなります。

  3. 頭が良くなる、記憶力アップ

  4. よく噛むと脳細胞の代謝活動を盛んにさせ、脳の血液循環をよくします。つまり咀嚼には、脳の発達と活動を促進させる働きがあります。
    また、現在、記憶や学習に関係する科学物質として、コレチストキニン、ボンベシン、ニューロペプチドや酸性線維芽細胞増殖因子(α -FGF )などが知られています。
    このうち特にα -FGF は新生児の脳の発達、脳細胞の再生修復、海馬の記憶中枢ニューロンの活動促進、条件回避学習の成績向上などの作用があることが報告されています。
    よく噛んで食べると、脳内にこのα -FGF が増加します。つまり、記憶力を増進させて学習能力を向上させることになるのです。

  5. 肥満を防止し、癌や糖尿病などの生活習慣病を予防する

  6. よく噛んで食べると唾液と十分に混ざり、デンプンは消化酵素のアミラーゼで消化され、麦芽糖にかわり、早く血中の血糖値を高め、脳がこの血中の糖分を察知して満腹中枢に知らせ、満腹感をかんじさせて、それ以上食物をとることを中止させます。
    したがって、よく噛んで食べることにより、過剰なカロリーの摂取を防止することができ、肥満や糖尿病を予防することになるのです。
    また、唾液を 30 秒以上作用させるだけで、食品に含まれる様々な発ガン物質の毒性を唾液に含まれる酵素が消してくれるという研究結果が出ております。
    つまり、よく噛んで(理想的には一口 30 ? 50 回噛む)時間をかけて食事をとることで、癌の予防もできるのです。

  7. 容貌、表情が良くなる

  8. 「ブス」の語源をご存じでしょうか?
    ひと頃、新聞紙上を賑わせたトリカブトという植物があります。このトリカブトを漢方薬(生薬)では「附子(ブシ)」といって、強心剤、強精剤に用いていました。ヒトがこれを多量に飲んだり、傷口から入ったりすると、顔面蒼白、呼吸中枢に麻痺を起こし、同時に感情や思考力が停止し、無表情となります。この状態を「ブシ」による顔、なまって「ブス」というようになりました。したがって、顔に動きのない、感情のない能面のような顔をブスと表現するようになったわけです。
    一方、顔を構成する要素の中で特に目と口は直接動的な機能をもって変化するので、外形の美醜に大きく影響すると考えられます。よく噛む習慣をつけることによって、顔に動きが出て、明るい表情を作ることになるのです。

  9. ボケを予防する

  10. よく噛むことによる刺激によって大脳の細胞が活性化されます。具体的には噛む刺激が下顎骨をささえる顎関節やその付近の筋肉(側頭筋、咬筋、内・外翼突筋)など口を開閉する筋肉群の感覚受容器(筋紡錘=錐内繊維という)に情報を送り、大脳皮質を刺激し、また、覚醒中枢である脳幹網様体というところに伝わり、脳の活動を活発にします。したがって、噛む筋肉が活動しているときは眠くならないのです。ということは、大脳の働きである記憶、認識、思考力、判断力、集中力、注意力などを高め、脳の機能を著しく活発にし、老化やそれに伴うボケを防止します。
    また、噛むことは下顎を動かすことであり、顎を動かすたびに脳と海綿静脈洞及び翼突筋静脈叢間の静脈環流が行われ、顎を動かす運動がポンプとなって脳にあった古い血液を心臓へ送り返す循環作用が行われます。そして、新しい血液が脳にいき、脳の働きを活性化して、その結果、仕事の能率をあげることにもつながります。
    さらに、よく噛んでだ液をたくさん出せば、だ液線ホルモンに含まれる NGF (神経成長因子)と呼ばれるホルモン、これは神経の発育促進に関係していますが、これをたくさん分泌させることになり、脳の神経細胞にもいい影響を与えますから、ボケ予防に役立つことになります。

  11. 肌が美しくなる

  12. よく噛んでだ液をたくさん出すことで、それに含まれるだ液タンパク質の中で、パロチン(俗に若返りホルモンと呼ばれます)は、骨や筋肉などを丈夫にして老化を防ぎます。このだ液タンパク質は耳下腺から分泌され、血色のいい顔、肌の張りをもたらし、若さを保つのに大切なはたらきをしています。また、 EGF (表皮成長因子)と呼ばれるだ液タンパク質は、皮膚や歯、口の中の粘膜、胃腸、血管等の増殖と増進に一役買っています。皮膚などの細胞では、細胞分裂を繰り返して、古いものは死に、たえず新しく入れ替わっていますが、その細胞分裂を EGF が促進します。つまり、よく噛めば、 EGF などの分泌も盛んになり、若々しい体と美しい肌を保つことになります。


    ◎以上のような効果が期待できますが、他に学校食事研究会がもっと分りやすく端的にまとめた標語として 「ひみこのはがいーぜ」 というのがあります。

    これは次のようなよく噛むことの 8 大効果の頭文字を取ったものになっています。

    「ひ」 肥満予防:良く咬めば満腹中枢が働いて食べ過ぎがなくなります。

    「み」 味覚の発達:良く咬んで沢山の種類の食物を食べれば味覚が発達します。

    「こ」 言葉の発音がはっきり:口の周りの筋肉が発達して発音が良くなります。

    「の」 脳の発達:咬むことが脳の発達にも関係します。

    「は」 虫歯、歯周病の予防:咬むことにより分泌される唾液が虫歯を予防し、咬むことで歯ぐきや顎の骨が鍛えられます。

    「が」 癌予防:唾液が発癌物質を中和します。

    「い」 胃腸快調:当然消化も良くなります。

    「ぜ」 全力投球:良く咬めるということは力を発揮できるということです。

    【参考文献】

    • 日本咀嚼学会編 窪田金次郎監修 『噛む効果』 日本教文社  1997

    • 窪田金次郎他 『噛む』 株式会社ヤクルト本社  1994

    • 咀嚼研究センター設立推進グループ編 『噛まない人はだめになる』 風人社  1987

    • 上田 実著 『咬むことと脳の働き』 デンタルフォーラム  2000

    • 押鐘 篤・覚道幸男著 『唾液のはなし』 口腔保健協会  1983

    • 長谷川正康著 『噛む』 求龍堂  1991

    • 正食協会編 『噛み方健康法』 正食出版  1987





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