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ヒポクラテス

長崎県歯科医師会会史第一編

ヒポクラテス

 ヒポクラテスは健康と病気を自然現象として科学的に見て、医術を魔法から引き離しました。「病気の原因は四種の体液(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁)のバランスが乱れることにある。」としました。 「病気を治すことは病気と自然の力との争いである。病気の経過の中で争いの結果、尿、大便、疾、汗、出血、膿などが体外に出され、4つの体液の調和が復することで病気は治る。」と説きました。
 その治療法は簡単で適度な食事、睡眠、運動など静養主体で、薬としては緩下剤、利尿剤などを用いました。当時は薬物の知識も乏しく、外科が未発達であったので、障害を避けて自然治癒を待つというのが非常に良かったのでしょう。 

ヒポクラテス全集

 歯の形成、萌出、歯や口腔の病気とその治療法に関する記述があります。

 ①「乳歯は母体内の胎盤の栄養によって、また出生後は母乳で形成される。乳歯が脱落してから生える歯は、飲食物により形成される。乳歯脱落は、ふつうは約七才からはじまり、何か疾病があって破壊されない限り、その後は年齢が進むにつれて次々に生えてくる。」 

 ②「歯痛のある時、その歯が欠けていたり、ゆるい場合には抜かなければならない。欠損もなく、ゆるくもなくてしかも痛いときには、焼灼によって乾かさなければならない。よく咀嚼することはよいことである。その訳は、痛みは歯根の下に滲みこんでいる粘液に原因があるからだ。歯は、それが生まれつき弱く、また口腔内にうまく植わっていないときに、一部分は粘液、また一部では食物によってびらんし、欠けてくる。」

 彼は「抜歯用の紺子については、その使用法が簡単なのでだれでも取り扱える。」と書いている、鉄製のオドンタグラodontagraと呼ばれる紺子はギリシアのいろいろな発掘地でみつかっている。