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明治時代の非歯科医

明治時代の非歯科医

 江戸時代から続いていた入歯師、歯抜師などの口中科は歯科医師免許を受けることなく、地方の知事の発行する許可鑑札を受けて、営業することが認められていました。この従来からの口中営業者は新規に開業することは認められなかったものの、人数的に口中営業は歯科医師の5倍から10倍も多い情勢で、大いに歯科医師の業務を侵し、圧迫していました。しかし実際問題、歯科医師だけで歯の治療をすることは現実的には無理でした。
 内務省衛生局は歯科医の開業試験制が発足した当初は、入歯師、歯抜師など口中科について、新規開業は認めないので遠からず自然に消滅していくと予想していました。しかし口中営業者の中には名義を他人に貸したりして不正な営業をするもの、さらには、入歯細工営業者も出現しました。入歯細工営業者は義歯に必要な材料を製作する職業(今日の歯科技工所)でしたが、表面では全く患者に直接施療をしないことになっていましたが、実態は鑑札の交付を受けた営業者と同じような治療をするものが現れました。